曽野綾子の世界

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この対論記事は素晴らしい。女性の敵は女性であってはならず。助け合わなくては。→「出産したらお辞めなさい」曽野綾子氏に反論続々女性が望む“働きやすい社会”は遠のくか、近づくか(ダイヤモンド・オンライン) - Y!ニュース zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=2013… via Tweet Button
2013.09.10 11:52


「出産したらお辞めなさい」曽野綾子氏に反論続々女性が望む“働きやすい社会”は遠のくか、近づくか
ダイヤモンド・オンライン 9月10日(火)8時30分配信

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130910-00041426-diamond-soci&p=1


作家の曽野綾子氏が「週刊現代」8月31日号に寄稿した「何でも会社のせいにする甘ったれた女子社員たちへ」(※リンク先の記事の一部は有料)の内容がいま、大きな話題となっている。「マタハラとかセクハラとか、汚い表現ですね」など、やや過激とも取れる口調で、「彼女たちは会社に産休制度を要求なさる」「会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度だと思いますよ」と、産休制度を求める女性を切り捨てているからだ。

この記事については賛否両論が巻き起こっており、ネット上では否定的な意見が優勢だ。すでにいくつかの反論記事も上がっているこの寄稿。先日ユーキャンが行った調査で「女性が結婚・出産後も仕事を続けるために、何が必要だと思いますか」について聞いたところ、女性から最も多かった回答が「産後の女性が働きやすい社会のムード」(77.0%)だったことと合わせて考えてみると興味深い。

● 「育休は当然の権利」「同僚の苦労を顧みない」 女性社員は本当にそう考えているのか

曽野氏の寄稿については、「週刊現代」9月7日号で金美齢氏が賛同を表しているが(※リンク先の記事の一部は有料)、その一方で「「出産したらお辞めなさい」労基法違反推奨の曽野綾子論文を週刊現代が掲載した件はなぜ問題にならない? 」(伊藤和子氏)、「女性は甘ったれ?  週刊現代の記事に働く女性から反論」(AERA・9月2日号)などの反論記事も出ている。

投票数は少ないものの、「インターネット国民投票 ゼゼヒヒ」がこの記事を取り上げて、「出産したら女性は会社を辞めるべきという意見、どう思う? 」と聞いたところ、85%が「支持しない」を選んでいる(9月9日18時時点で投票数は138)。
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産休制度は労働基準法に明記された労働者の権利であり、これを「迷惑千万な制度」などと言うことは本来あってはならないこと…というのは、すでにこれまでの反論記事で再三書かれているので繰り返さない。

筆者が気になったのは、曽野氏の記事にしても、金氏のコメントにしても、「一部の女子社員が『育休は当然の権利』と主張し、職場の同僚たちの苦労を顧みない」(「週刊現代」9月7日号より抜粋)ことを前提にして書かれていることだ。

筆者はこれまで約6年間にわたって、結婚・出産後も仕事を続けている女性の取材を続けてきた。その取材のなかで幾度も耳にしたのが、「職場・同僚に迷惑をかけてしまうことが心苦しい」「子どもを産んでも続けられるように、職場に自分が有用な人材であること認めてもらわなければならない。そのために頑張りたい」という言葉だった。子育てに理解のある職場に勤める人でも、「職場の理解に甘えてはいけないと思う」と語っているのが実態なのだ。

「職場に迷惑をかけられないから」と、出産ギリギリまで仕事を続け、産後2ヵ月で復帰した人や、保育園ではなく実家の両親に子どもを預けて半年で復帰したいと言う人もいた。「1人目は産休・育休を取れたけれど、2人目はさすがに(会社に負担をかけるので)無理だと思う」という声も聞いた。

保育園に預けることについても誰もが「当たり前」と思っているわけではなく、「子どもにさみしい思いをさせているのではないか」という葛藤を多くの母親が抱えている。それでも子どもを預けるのは、いったん仕事を辞めてしまえば再就職が難しく、仕事を続けられなければ将来への不安が大きいからだ。

曽野氏は、「子どもができたら、共働きをしないと生活が苦しくなってしまう、という心配は出てくるでしょうね。この考え方が、私とは少し違うんです」といい、「私たちが若くして子育てをしたころは、みんな貧乏暮らしをするものでした」「本来、子どもができたら自分勝手なことに使えるお金が減るのは当然なんです」と書くが、日本の経済が右肩上がりで将来に希望を持てた時代と今とでは事情が違う。

また、少し話はズレるが、出産後に復帰した女性が異口同音に口にするのは、約1年間仕事を休むことで復帰後に元のペースを取り戻すのには時間がかかるものの、「時短勤務で働き始めるようになってからの方が、残業ができない分、仕事の効率を意識して働くようになった」「子どもがいつ熱を出すか分からないので、『明日でいいことでも今日やる』意識が身についた」という言葉だ。
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出産後に働き方に対する意識が変わったと話す女性は多く、働き続けられる環境を与えてくれる会社に対して感謝の言葉を口にする女性ももちろん多い。時短勤務の女性はそれだけで「戦力外」と当たり前のように言われることが多いが、年収がそれまでの2分の1、3分の1にもなることもあるという時短勤務で働く女性たちの「コストパフォーマンス」は意外に高いのではないかとも感じる。

● 男性より女性の方が5ヵ月短い 「適正だと感じる育休期間」

もちろん、なかには権利ばかりを振りかざし、「職場の同僚たちの苦労を顧みない」人もいるのだろう。筆者も零細企業ではあるが会社の役員を務めており、働く人にもいろいろなタイプがいることは知っている。しかし、その悪例ばかりを出して、肩身の狭い思いをしながら仕事を続けている女性の頑張りを無にするような言説は、いかがなものだろうか。迷いながらも誠実に、謙虚に、子育てと仕事を両立したいと願う女性の言葉にも耳を傾けてほしいと思う。筆者の取材した女性は働く女性のなかのほんの一部だが、曽野氏や金氏の見た「職場の同僚たちの苦労を顧みない」女性も、また一部だと思うのだ。

ユーキャンが2013年7月26日〜28日に行ったインターネット調査(「女性が輝く日本に関する意識調査」有効回答数654人)が、「女性が結婚・出産後も仕事を続けるために、何が必要だと思いますか」を聞いたところ、男性で最も多かった回答が「待機児童解消」(65.7%)だったのに対し、女性で最も多かった回答は「働きやすい社会のムード」(77.0%)だった。制度が整っても環境によってはその制度を使えないと考えている女性は多い。未だに、働き続ける道を選び女性への風当たりが強いことを感じている人は多いようだ。

また、「育児休暇期間がどのぐらい適正だと思うか」についての質問には、男性回答の平均値が2年1ヵ月だったのに対して、女性は1年8ヵ月と、女性の方が5ヵ月短かった。ユーキャンはこの結果について「少しでも早く復職したいという女性の前向きな思いが反映」されていると分析しているが、この結果からも、現代の女性が「自分の出産のためなら会社にいくらでも迷惑をかけてもいい」と考えているわけではないことが読み取れるのではないだろうか。

(プレスラボ 小川たまか)


曽野綾子氏の慈善活動の功績は関係者の人々から聞かされていたので敬意を表する。しかし今回の我々世代の女性が抱える社会的困難と少子化につながる社会問題について、経営者側と世代の異なる視点で論じ、さらに女性の立場で苦言を呈するという方法をとったことは全く評価に値しない。 via web
2013.09.10 12:07